ネオアンチゲン ペプチドワクチン療法
ネオアンチゲンペプチドワクチン療法とは
がん細胞の遺伝子変異を解析(ゲノム解析)することにより特定されるがん特異的抗原「ネオアンチゲン」を使用します。
特定された「ネオアンチゲン」を基に化学的に合成されたペプチドをワクチンとして投与し、患者さま一人ひとりのがんに特異的な免疫細胞の活性化を図ります。
ネオアンチゲンペプチドワクチン療法の特徴
がん細胞のみに発現する抗原を用いるため、免疫原性※が非常に高い
ペプチドワクチン療法で数多く用いられるオンコアンチゲン(共通抗原)は、がん細胞に多く見られる抗原ですが、正常な細胞でもわずかに発現します。一方「ネオアンチゲン」は、正常細胞には発現せずがん細胞のみに発現する抗原です。
このため「ネオアンチゲンペプチドワクチン」には、免疫細胞に認識されやすい、いわゆる免疫原性が非常に高いという特徴があります。
- ※体内で免疫反応を引き起こす能力
抗腫瘍免疫※が誘導されやすい
「ネオアンチゲン」は、次世代シーケンサーを活用したゲノム解析により特定される、遺伝子レベルで患者さま個別に特化したがん抗原です。そのため、このがん抗原を用いる「ネオアンチゲンペプチドワクチン」には、抗腫瘍免疫が誘導されやすいという特徴があります。
- ※がん細胞の増殖を抑えたり、死滅させたりする免疫のこと
副作用
主な副反応として、注射部位の発赤、腫脹、硬結、疼痛、掻痒などがあります。またこれらはわざと免疫反応を惹起するために炎症を起こさせているため1か月ほど続くことがあります。注射部位以外の副反応として発熱、頭痛などみられますが、ほとんどは接種後1,2日後に発現し、数日以内には消失します。
ネオアンチゲンペプチドワクチン療法の流れ
NEOクリニック東京では、「Precision Medicine(プレシジョンメディシン)」に基づき、他の治療法と適切に組み合わせた「ネオアンチゲンペプチドワクチン療法」をご提供し、治療効果の最大化を図ります。
がん免疫細胞療法
がん免疫細胞療法とは
患者さま自身の免疫細胞の働きを活性化させることにより、がんへの攻撃力を高め、がん細胞を抑え込む治療です。
実際の治療では、患者さまの血液やがん組織・腹水・胸水などから、がんの攻撃に関わる免疫細胞を取り出し、体外で増殖・活性化・機能強化させて再び患者さまに投与します。
がん免疫細胞療法の特徴
他の治療法と適切に組み合わせることにより、相乗効果が期待できる
当クリニックで行っているペプチドワクチン(ネオアンチゲン/オンコアンチゲン)療法や免疫チェックポイント阻害療法などと適切に組み合わせることにより、相乗効果が期待できます。また、標準治療である化学療法(抗がん剤)や放射線療法などとの組み合わせにおいても、相乗効果が期待できます。
重篤な副作用がほとんどみられない
がん免疫細胞療法はご自身の免疫機能を活性化させる治療であるため、重篤な副作用はほとんどみられません。
ただし、注射による治療となるため、予防接種のように一時的な注射部位の赤み・腫れ・かゆみ・微熱・倦怠感などがみられることもあります。
NEOクリニック東京のがん免疫細胞療法
NEOクリニック東京では、”Precision Medicine(プレシジョンメディシン)”に基づき、他の治療法と適切に組み合わせた「がん免疫細胞療法」をご提供し、治療効果の最大化を図ります。
当クリニックの医師らによる独自メソッドを活用した「がん免疫細胞療法」には、以下の3種類があります。
- ネオNK細胞療法(高活性化NK細胞療法)
- ネオT細胞療法(αβT細胞療法)
- ネオTIL療法(腫瘍内浸潤リンパ球療法)
ネオ樹状細胞療法(NEO-DC療法)
患者さんから細胞成分分離採血で樹状細胞のもととなる単球を採取します。その際に血液循環している腫瘍細胞(転移がん細胞など)も一緒に採取します。その腫瘍細胞からネオアンチゲンを解析しネオアンチゲンペプチドを合成します。誘導した樹状細胞にネオアンチゲンペプチドを取り込ませたワクチンを製造し、患者さんに投与します。当院の細胞培養センターで樹状細胞は製造されます。そのため輸送時間がなく新鮮な状態で患者さんに届けることができます。
免疫チェックポイント阻害剤や分子標的薬、標準治療である化学療法(抗がん剤)や放射線療法などの他の治療法と「ネオ樹状細胞療法(NEO-DC療法)」を適切に組み合わせることで、がんへのより高い攻撃効果が期待できます。
ネオNK細胞療法
NK細胞は、がん細胞を攻撃するリンパ球の一種です。自然免疫と言われ、体の中を常時パトロールし、異常細胞をいち早く発見して攻撃します。
がん細胞は免疫細胞からの攻撃を逃れようとして、がんの目印の一つ(MHC分子)を隠すことがあります。
NK細胞は、目印を隠しているがん細胞を攻撃する性質を持っており、高い殺傷力を有しています。
このNK細胞を患者さまの血液から採取して、体外で高活性化させることで、細胞を殺傷する能力を高め、患者さまの体内へ再び戻す治療法が「ネオNK細胞療法(高活性化NK細胞療法)」です。
当クリニックで行うペプチドワクチン(ネオアンチゲン/オンコアンチゲン)療法、免疫チェックポイント阻害剤、サイトカイン療法、標準治療である化学療法(抗がん剤)や放射線療法などの他の治療法と「ネオNK細胞療法(高活性化NK細胞療法)」を適切に組み合わせることで、副作用の軽減やがんに対する相乗効果が期待できます。
ネオT細胞療法(αβT細胞療法)
T細胞は、がんを含む異常細胞の抗原を認識して攻撃するリンパ球です。
このT細胞の中でも異常細胞への攻撃において中心的な役割を担っているのが、αβT細胞です。
患者さまの血液からαβT細胞を含むT細胞を採取して、体外でより強く活性化・増殖させ、患者さまの体内へ再び戻す治療法が「ネオT細胞療法(αβT細胞療法)」です。
標準治療である化学療法(抗がん剤)や放射線療法などの他の治療法と「ネオT細胞療法(αβT細胞療法)」を適切に組み合わせることで、副作用の軽減や、相乗効果が期待できます。
ゲノム解析に基づく分子標的薬や抗体薬の投与
(ピンポイントでがんを攻撃する)
分子標的療法とは
ゲノム・分子レベルでの解析結果や免疫組織染色に基づき、がん細胞の増殖に関わる特定の分子(タンパク質や遺伝子)を狙い撃ちしてがんの増殖を抑える薬「分子標的薬」「抗体薬」を使用する治療法です。
分子標的療法の特徴
体への負担が比較的少ない
従来より使用されている抗がん剤は、がん細胞が増殖するのに必要なDNAの合成を阻害して細胞分裂を妨げることで、抗腫瘍効果を示します。これらは、正常細胞のDNA合成にも影響するため、多くの副作用が生じます。
これに対して分子標的薬や抗体薬は、がん細胞の増殖や転移を引き起こす特定のタンパク質を狙い撃ちにするため、従来の抗がん剤に比べて、正常な細胞へのダメージが少なくなります。
副作用がまったく生じないことはありませんが、従来の抗がん剤に比べると、患者さまの体の負担をより軽減することができます。
分子標的薬ではそれぞれの薬剤でターゲットとする分子が異なりますので、副作用の出方も違います。
副作用として、皮疹、倦怠感、間質性肺炎、悪心、下痢などの消化器症状等が発生することがあります。
心臓に障害が起きる心毒性、呼吸困難をもたらす間質性肺炎、腸に穴があく腸管穿孔、動脈がつまる動脈血栓症など命にかかわる副作用がまれに起きることもあります。
気になる症状が発生した場合は、医師までご相談ください。
分子標的薬の効果が事前に予測できる
分子標的薬や抗体薬の多くは、手術や生検で切除した組織あるいは血液を用いて、遺伝子変異や特定タンパクの発現を調べることで効果を予測することができます。
事前に薬剤の期待値が分かることでリスクを軽減し、患者さまの体力的・精神的な負担を減らすことが期待できます。
分子標的薬や抗体薬の種類について
標的にする分子によって、EGFR阻害薬、IDH阻害剤、HER2阻害・抗体薬、血管新生阻害薬、抗TROP2抗体薬物複合薬、抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体など、さまざまな分子標的薬や抗体薬があります。
分子標的薬の投与方法には、点滴と内服があります。どちらも、単独で投与したり、ほかの治療や抗がん剤と適切に組み合わることにより、治療効果の最大化が期待できます。
NEOクリニック東京 名古屋研究所では、❝Precision Medicine(プレシジョンメディシン)❞に基づき、患者さま一人ひとりに適した「分子標的療法」をご提供し、治療効果の最大化を図ります。
腫瘍溶解性ウイルス療法
腫瘍溶解性ウイルスとは、がん細胞に感染して破壊するウイルスです。正常な細胞には影響を与えず、がん細胞だけに選択的に感染する特性があります。
さらにウイルスに感染した腫瘍細胞は、免疫細胞に認識されやすくなり、抗腫瘍免疫が活性化され、腫瘍が破壊されます。これもがん免疫療法の一種になります。免疫チェックポイント阻害剤との併用で相乗効果が期待されます。